ユーミンは稀代のメロディーメーカー、間違いなく音楽の天才の一人だと思う。だが、このアルバム…繰り返し聴いてみたが、華やかなバッキングとアレンジに相反してメロディー自体は比較的凡庸で陰鬱な作品に思えた。「まずはどこへ行こう」も一見朗らかなメロディーラインは後半のコーラス部分で鬱屈してしまい、スカッとした感触は残らない。歯切れが悪いのだ。ユーミンってこんなメロディー展開、本当に好きだったのか?と思ってしまう。「ハートの落書き」も「卒業写真」や「最後の春休み」の系譜に属する曲だと思うが、比較するのも気の毒なほど存在感が薄い…歌詞も音もユーミンしてるんだけどなぁ…
しかし、"雨のステイション"を連想させるイントロで始まる「夜空でつながっている」とメドレーのように連なる「人魚姫の夢」の2曲には"らしさ"が感じられた。特に後者のコーラスワークは切なくこよなく美しい。そして、この2曲の「あなた」を"音楽の神様"や"天才の閃き"に置き換えると、このアルバムに込められた作者の私小説的心象風景が素直に綴られているようで興味深い。この方向に進んでいけば新しい展開が広がるのではないか?と感じた。そう、アルバムタイトルの通り「そしてもう一度夢見るだろう」という期待が持てた。まぁ、勝手な解釈ですが…
だが…憂鬱な雰囲気の曲より素直で美しいメロディーライン(それがアンニュイな雰囲気を漂わせていたとしても、である)を紡ぎ出すユーミンの方が私は好きだ。本当は☆は今後の期待も込めて3つ半。

ユーミンの華やかな憂鬱
名盤
久しぶりのアルバム。