「明日に向って撃て!(特別編) [DVD]」のカスタマーレビュー
ヌーベルバーグとの因果関係は?
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60年代の中ごろから終りにかけて、アメリカに新しい傾向の映画作家たちが出現し、それまでの巨大資本のもとで制作されたものとは一線を画す作品群が発表された。いわゆる「アメリカンニューシネマ」である。ところが今になって冷静になって観ると「アメリカンニューシネマ」はフランスの「ヌーベルバーグ」の焼き直しではないか、という気がしてきた。たとえば「俺たちに明日はない」はゴダールの「勝手にしやがれ」をハデハデにしたような感じでもあるし、本作はトリュフォーの「突然炎のごとく」の換骨奪胎と言えなくもない。
どこが似ているかというと、まず主演三人が男二人と女一人で構成され、この三人は明るい三角関係にある、ラストは両方とも悲惨なものだが演出が巧みで観ている分にはそう感じさせない、ストップモーション等を交えた映像表現がユニーク、音楽の使い方が画期的、さらには原題も良く似ている(「ジュールとジム」と「ブッチ・キャシディとサンダンス・キッド」)。ちなみに日本語タイトルは両作品とも、オリジナルをはるかに上回る良いデキですね。
本DVDはオリジナル音声か吹き替えを選択可(もちろん字幕も)。さらにニューマン、レッドフォード、ロスの主演三人(みなさんお年をめされました)と脚本家のゴールドマン及び作曲家のバカラックの94年当時のインタビュー、キャメラマンのホールによる各シーン毎の詳細な解説、さらにメイキング映像がついていて、いたれり尽くせり。それでこの値段は安すぎる。必見です!
アメリカ社会の見方
3人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
『明日に向って撃て!』(原題:Butch Cassidy and the Sundance Kid)DVD 1969年アメリカ映画。
イージーライダーの公開年と同じなんですね。
個人的には犯罪者を主人公にした作品は好きではないのです。
安易に金を盗みその金で贅沢に暮らすという文脈は非常にアメリカ的とでも言うのでしょうか。アメリカ社会の問題点を描いているようにも思います。
列車強盗を保安官が有志を募って追跡しようとした時、誰一人として同調しない社会。これが個人主義のアメリカというものだと感じました。そこには共同体という文脈はないのでしょう。組織としての警察だとか会社は存在するものの個人の集団としてまとまりは希薄なアメリカが浮き彫りにされているのかもしれません。そしてそれは今現在も続いているのでしょう。40年前のアメリカ映画がまさにアメリカの真実を映し出しているのでしょう。
人生の明暗、この一本にあり!
2人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
前半はストーリー・映像・音楽すべてが明るく陽気に進んでいきます。
まずい状況になっても、どこかのんびりした雰囲気が伝わって来ます。
ですが、話が進むにつれ、すべてから陽気さが失われていき
乾いた悲劇へと向かっていきます。
(二人の主人公が最後まで陽気さを失わないのがせめてもの救いです。)
まさに「人生の明暗」がこの一本にあると言っても過言ではないと思います。
粋なセリフ 新しい西部劇の姿
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ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドという西部開拓時代の末期に実在したアウトローをモデルにした映画で、ウィリアム・ゴールドマンの脚本によるセリフが粋です。
ポール・ニューマンがキャサリン・ロスを自転車に乗せて、牧場(ユタで撮影)を走るシーンのバックに、バート・バカラック作曲の「雨にぬれても」が流れるところは楽しげで心に残るシーンでした。そこでのセリフはアドリブだったそうで、自然な関係の3人が良く描けていました。まだ有名になる前のロバート・レッドフォードも渋い演技で観客を魅了しました。ジョージ・ロイ・ヒル監督が残したアメリカン・ニューシネマの代表作です。
冒頭のシーンやボリビアへ逃走する際のニューヨークでのセピア色の映像は実に効果的に当時の雰囲気を演出していました。ボリビアでの銀行強盗でのシーンのバックに流れるスキャットも実にオシャレでした。流石にバカラックだったと思います。
1969年度のアカデミー賞4部門受賞(脚本賞、撮影賞、作曲賞、歌曲賞)というのも素晴らしいですが、ベトナムが泥沼化し、世界中で大学の紛争が起こった年に爽やかで斬新なアウトロー映画を世に問うたわけで、それゆえ後世に残る映画となったわけですが。
深刻な状況下での「次はオーストラリアへ行こう。あそこは英語を話して外国人扱いされない。」というセリフは本編に流れる軽妙さの象徴でしょう。それに続く音声のみのシーンでのセピア色のストップモーションが生きていました。
メイキングは本編を楽しむエピソードが満載で、バカラックのコメントは参考になりました。ボリビアのシーンはメキシコのトリアコピンで撮っており、全編を1年3カ月かけて撮影したという苦労話は本作の中身の充実ぶりとリンクしていました。