「ノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディション」のカスタマーレビュー
やっぱし、『ビッグ・リボウスキ』が好きだな、僕は。
まずは、「面白かった」
映像も美しかった。
確かにクールな映像であるのだけれども、僕は「ビッグ・リボウスキ」の方が好みです。
彼ら独特の、思いもかけず、ついつい「巻き込まれてしまった運命のいたずら」的展開が好きなので(人生ってそういうものだと思うので)、運命というかちょっとしたタイミングに翻弄される人々の人生を題材にしていた、これまでのものとはちょっと異なっていた。
確かに、今回も、ひょんなことから大金を手にして、殺し屋に追われるはめになったと言う点では、彼ら独特の「人生メリーゴーランド」的映画ではあるのだけど、ペーソスというか、可笑しさが欠けていて、げらげら笑うところがありません。
やっぱし、『ビッグ・リボウスキ』が好きだな、僕は。
でも、コーエン兄弟は素晴らしい哉 嗚呼 !!
この映画を気持ち悪く怖くさせているのは、あの髪型だと思う。
2人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
現実的にいそうな、とにかく気持ち悪い顔の殺し屋いかれ野郎、シガー。
いつも無表情で直立不動、おそらく自分でもかわいいと思っている奇妙な髪型、がたいが良く俊敏、一見凶器にみえないガスボンベを使った空気砲や完璧なサイレンサーを装備したライフルで人を簡単に殺していく。好きな飲み物はミルク。ぐちゃぐちゃに負傷しても無表情で注射を打つなり、自分自身を手当てする。
途中、シガーに無線探知機で追われている時はかなりドキドキ物でした。
一度こいつと会話が始まると終わり、顔を見たものはほぼ殺される。
彼には何を言っても無理(笑)on,offがない。
ほぼ、良心的な感情、動揺や迷いがなく、ゴットファザーとかよりもたちが悪い。
なんか、演技というよりも本当に実在しているんじゃないかと思ってしまう、怖い。
最後までびびらずに奴と戦い、攻略を見出したベトナム帰兵の男、ルウェリンがとても頼もしかった。
怖すぎる
6人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
人が簡単に殺される理不尽。物語の目的やこの映像で何を見せたいのか。恐怖が大きすぎて他に何も伝わらない。この映像から何を考えろというのか。見終って虚無感しか残らなかった。
これが映画のパワー
5人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
映画を見て、教訓を得たい
だた面白い映画が見たい
そういう人はこの映画を観ないでほしい
これはシティオブゴッド以来のエンターテイメントのフィルターを通した暴力映画だ
だが、ほとばしる映画としてのパワーは最上級
エンドロールまで音楽は一切なし
緊張感は常に続く
ハビエル演じるシガーの一方的な暴力は観るものにも向けられているかのよう
そう、映画の描いている暴力はいつも我々を挑発する
私たちは知らず知らず、映画の暴力を肯定して来た
正義面した暴力をエンターテイメントとして肯定しているのだ
でも、この映画はそうではない
教訓じみたシーンはあるが、そこから解決策を安易に模索したりはしない
観るものは反映の現実を見ている
暴力のはびこる我々の世界
その反映の「現実」
この映画の暴力を観て、そこから得るものはきっとないだろう
それが暴力
この映画はエンターテイメントでありながら、そこにヒリヒリする緊張感を持って肉薄している
コーエン兄弟の映像も過去最高
背景が白飛びしているシーンなどない
とことん現実の目から描いていて、要所要所で目に焼き付く美しいシーンがある
ハネケもかつて映画の暴力のみを抽出した映画を撮った
テーマとしてはとにかく難しい
でも、コーエン兄弟は見事に映画史に残る作品を撮ったと思う
私はこの映画のパワーに打ちのめされた
ただ面白いこと以上に、この映画に出会えて良かったと思っている
まさしく「旧世代のための地は存在しない」
3人中、0人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
恐ろしい作品です。
一応、麻薬がらみの金をネコババした男とそれを追う殺し屋、というストーリーは存在しますが、本作の主眼はハビエル・バルデム扮する殺し屋の不条理殺人にあると思います。
この殺し屋は自分のルールにのっとって殺人を行なうとされていますが、殺される人間の方からしたら、「えっ、なんで?」という理由ばかり。
全く無関係の人間も殺しの標的にしようとする殺し屋のアルゴリズムは常人には理解しがたいはずですが、実際のところはそれこそが現代の我々が抱える「何を考えているか分からない殺人者」という問題なのではないでしょうか。
主要人物のように見えるトミー・リー・ジョーンズ演じる保安官も昨今の無常、残虐さを嘆くばかりで物語に直接的な介入をする事は皆無です。ですが、この保安官こそ不条理殺人にも何らかの理屈があると信じている旧世代の象徴であり、新時代の殺人者たちに翻弄されていく人間そのものなのです。
通り魔事件が頻発している日本に住む我々にならば、この作品の言わんとすることが少しは分かるのではないでしょうか。