気持ちはわかれど、本音は伝わらない
5人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
木尾士目原作/講談社月刊アフタヌーン連載
「げんしけん」TVアニメ第2期『げんしけん2』第9,10話を収録したDVD5巻です
オタクを写実的にきめ細かく捉えたテイストは健在で、変に誤魔化さず
趣味に打ち込む実直さとそれゆえの劣等感に葛藤する描写が秀抜です。
(総合7.5/10点)
第9話[シューカツはいつも雨」★★★★☆7/10点
注目すべきは笹原の就職活動風景。四苦八苦自己アピールに
奮闘するものの、憧れに似た趣味と業務という仕事の間にある見えない壁の
大きさを判りやすく表現した場面に納得。明確な自己主張が足りず、
自分が見えない憂鬱さを漂わせた生々しさが非常に印象深いお話です
第10話「オタク・フロムUSA」★★★★☆8/10点
レイアウトと場面構成力が実に巧い。作画の質以上に一枚絵だけでも、
本音が言い出せない歯痒さと勇気が出せない苛立ちを丁寧に描写しています
また、言葉が通じないアンジェラと斑目二人の関係を逆手に取って、
相手の気持ちを量る「以心伝心」の有様をさりげなく演出した最後も実に巧妙。
原作を単純になぞらず、再度解釈を練り、オタク達の内に秘めた躁鬱加減を
見事に描いており感心しました。#05並に力の入った仕上がりです。
青春はいつも雨
10人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
第9話は原作よりも深く掘り下げた笹原の就活模様を描いている。面接時に心にもないありきたりなマニュアル回答をした他の学生を鼻で笑った笹原、その時の事を面接官に指摘され口ごもり答えられなかった。嘘をついて他人に良く見られようと取り繕う事に疑問を抱きつつ、では自分はどうなんだ? 自分はどうしたいんだ? と自問自答を繰り返す。その迷いを見透かされたかのように志望企業から落とされる日々が続く。私生活では周りの友達が次々に進路を決め、ほのかに想いを寄せる女の子には遠回しに付き合えないと言われてしまう。そしてそれを振りきるかの様に自分のありのままの姿を面接にぶつけようとする。自分が考えている事や今までやってきた事を素直に面接官に伝える、しかし冷たく的確に否定されてしまう。結局それは誰にも求められてはいなかった、笹原のオナニー以外の何物でもなかったのだ。土砂降りの雨の日に真っ暗な部屋でエロゲーを黙々とやり続ける笹原、イヤホンの中ににあえぎ声が鳴り響く。次第に好きな女の子を思い浮かべオナニーをする。そこで場面が変わりEDが悲しく流れる。一人の不器用で実直な青年のモラトリアムを静かに激しく、そしてどうしようもない惨めさと虚しさと焦燥感を描いたこの話は原作よりも残酷でリアルだ。