「上海の伯爵夫人 スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]」のカスタマーレビュー
大人の映画
9人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
最近はハリウッドの大作等ガキの映画が多く辟易しているが、本作は本物の大人の映画だ。
1980年代以降、ノスタルジックな映画はほぼ皆無であったが、本作は全体を通してノスタルジックやアンニュイさが伴い、「カサブランカ」の様な名画の雰囲気がある。
主人公も男はダンディズム、女はエレガンスに溢れ魅力的(最近は服装もドレスコードが甘くなったが本作では昔通りのドレス、タイ、タキシードといった服装で、それが郷愁とともにムードを引き出している)。脇を真田が好演しているのも良い。
内容もやや陳腐ながら、奇をてらわない落ち着いた仕上がりとなっており安心してみていられる最近珍しい仕上がりとなっている。
誇りを持って生きること
8人中、6人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
亡命貴族で美しいロシアの元伯爵夫人が家族を養うために必死で生きている。感謝されるどころか見下げられて家に帰っても安らぎのない彼女。唯一の支えは娘のカティアだけ。
視力を失った元外交官のアメリカ人ジャクソンはそんな彼女が心の内に秘めている誇りを感じ取る。
念願の夢のバーに彼女を迎え入れ、お互いを思いやりながらもそれぞれの深い傷がそれ以上の干渉をためらわせてしまう。
全てを失ってしまった男と失いかけている女が、本当の気持ちで生きること。まだ見ぬ世界に好奇心を持つ娘の姿に、希望の光を感じさせる味わい深い作品。大切なものは何なのか。
異邦人たちが描く「古き良きヨーロッパ」の崩壊
11人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
監督は、「日の名残り」(93)、「ハワーズエンド」(92)、「モーリス」(87)、「眺めのいい部屋」(86)、など、アメリカ人でありながら、欧州的なテーマを描いた秀作を多く生み出しているジェームズ・アイヴォリー。
従来のモラルや価値観が崩壊して行く様、それに翻弄される人々を描いた作品が多く、本作品もそのひとつ。
第二次大戦開戦直前の上海を舞台に交錯する、亡命ロシア貴族のソフィア(N.リチャードソン)、元・アメリカ人外交官ジャクソン(R.ファインズ)、謎の日本人マツダ(真田広之)、3人の運命と、それぞれの選択。
脚本は、「日の名残り」(原題:The Remains of the Day)の原作者でもある、カズオ・イシグロ。
日本で生まれ、少年時代に渡英、現在もイギリスで活躍し、高い評価を受けている。
「日の名残り」も、第二次大戦をはさんだ時代の英国を舞台に、ある貴族に仕えた執事の公私にわたる苦悩、という、これもまた極めて英国的なテーマを扱った秀作。
本作と同様、戦前の上海を描いた彼の作品としては、「わたしたちが孤児だったころ」(原題: When We Were Orphans)もあり、いずれも日本語に翻訳されている。
主演のR.ファインズは、英国、「ロイヤル・シェークスピア・カンパニー」舞台出身の演技派。
代表作には、「太陽の雫」(99)、「イングリッシュ・ペイシェント」(96)、「シンドラーのリスト」(93)など、重厚な作品が多いが、N.リチャードソンとは、軽めの作品、「メイド・イン・マンハッタン」(02)でも共演している。
ベリンスカヤ公爵夫人を演じるV.レッドグレイヴは、言わずと知れた英国演劇界の大御所。
実生活では、N.リチャードソンとは母娘、ソフィアの義理の母・オルガ役のリン・レッドグレイヴは妹、一族で脇を固める。
美しい世界
5人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
すごく品があって絵画を観ているような映画です。視力を失ったジャクソンと家族に見下されながらも働くソフィア。この2人が上海という街で出会って仕事上のパートナーとして支え合っていて、でも本当はお互いの存在の大きさを感じているのにそれでも慌てずにいて、本当の大人の恋って感じがしました。この文芸作品の中で、とくに真田広之のマツダがいい味を添えていたと思います。