ルイ・マル監督は、ヌーベル・ヴォーグを代表する監督達の中では一番好きでした。「死刑台のエレベーター」は初期の代表作でしょう。
作品「ダメージ」については、原作は私も未だ大好きな一冊で、古びたペーパーバックを持っています。優れた映画化だと思いますが、テーマがテーマであるが故に、タブーに挑戦せねばならず、正直言って、ちょっと肩に力がは入りすぎたかなあ・・・といった感もあります。
個人的には、小品である遺作「さよなら子供達」の方を愛しています。
主演のふたりは、どちらも個人的にファンであるが故に、もう興味津々。ジェレミー・アイアンズは、やはり凄い!と評価しました。その後の「ロリータ」へと繋がる「男の情念」を精緻に、かつ気品(ダンディズム)をもって演じ、もう天下一品。一方、ジュリエット・ビノシュについては、未だ「適役」だったとは思えないし、彼女自身も作りすぎていたと感じます。
で、誰が適役だったのかと聞かれても、私もキャスティングできませーん!
皮肉にもビノシュを喰ったのが、妻役のミランダ・リチャードソンで、彼女の演技はアイアンズの身体をはった演技に唯一拮抗していて、何度観ても素晴らしい!
ルイ・マルも語っているように、スキャンダラスな内容を映画化するのは難しい。特に性的な見地において道徳感を追求する作品は。単に際物的なポルノグラフィー、あるいは通俗的なメロドラマにすることは簡単で、一般映画に仕立て上げるのは至難の業。ましてや、その作品に一定のレベルの正統性・品格、ましてや芸術性を与えようとすると、監督としては自殺行為に近い。
ルイ・マルの監督作品の中では異色の作品だと思いますが、しかしある意味では、彼にしか作れなかった作品だったとも評価します。
もう劇場公開以来、何十回も観ていますが、未だ研究している作品のひとつです。

ヌーベル・ヴォーグの顛末:ルイ・マル監督後期の代表作