ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク

ザ・バンド
EMIミュージック・ジャパン [CD]
(2005-07-06)
EAN:4988006832060
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sanpogasuki
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keroyon91
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「ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク」のカスタマーレビュー

ハードロックを越えた先にあるもの
ザ・バンド(高慢か、謙遜かよく分からない名前だ。)となる前の彼等の名前はザ・ホークス。二流ロックン・ローラーだったロニー・ホーキンズ(Ronnie Hawkins)のバックバンドとして、カナダからアメリカ南部をツアーした。その後ホーキンスから独立して、ザ・ホークスとなる。ドアーズ・クリーム、ジミ・ヘンにも負けず劣らずのハードロックが彼等の売りだった。だから、ロック転向を目論んだディランがホークスをバックバンドとして雇った訳だ。

そんなザ・バンドが1968年に発表したデビューアルバム。不思議なことに、彼等の前身であったザ・ホークスが持っていた60〜70年代のロック色はほとんど感じられない。どちらかと言えば、音はぐっと控えめになっていて、ソウル、R&B、ブルース、ゴスペル色が強く漂う格調高い?ホワイトソウル的な出来栄えになっている。

まるで夢物語の世界に迷い込んだような歌詞も見事。非現実的な出来事に、現実的な固有名詞を示唆する表現を交えている。このアルバム独自の幻想的な宇宙を作り出し、虚構の中に人生の真実を歌い上げている。

今までのロックからは聴くことの出来ない深みのある歌詞やコクのある演奏がリスナーを捉えて離さない、個性的な作品集となった。全曲(1曲のトラディションナルなブルースとディランとの合作2曲)を除いて彼等のオリジナル曲からなっている。

このサウンドが、ザ・ホークスがディランとのウッドストックでの共同セッション(ざ・ベースメントテープスとしてリリース)から学んだものだっただろうか。タイトルになっているビッグピンクとは、ディランとセッションをした建物の名前。(実際には本作は、LAにあるヴィレッジ・レコーダースで録音されている。)
哀感溢れる孤高の名作
1人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
68年発表の1st。いわゆる歴史的名盤って奴である。音楽が鳴りはじめれば、「間違いない」と誰もが納得してしまう説得力を持っている。宗教的な崇高さすら感じさせる孤高の作品でありながら、人懐っこくって暖かみのある演奏は一度聞いたら二度と手放すことが出来なくなる程。哀感の溢れるメロディとヴォーカルは胸にグサリと突き刺さってくる。エリック・クラプトンやいわゆるパブ・ロックと言われるグループの一群が、なぜザ・バンドに憧れたのはこのアルバムを聞けばすぐに理解できると思う。個人的にも完全なスリ切れ盤の一つとなっている。(CDで良かった。) ボブ・ディランの隠遁生活時代の共同作業の成果の一つとして生まれたという経緯があり、ディラン絡みの曲もあるが、長い下積み時代に書き溜めた曲を持ち寄ったのだろう。曲そのもののクオリティはザ・バンドの全てのアルバムの中でもダントツのものである。娘に裏切られた父親を歌った1.の「怒りの涙」は邦題からして凄いが、音を聞けば歌詞の内容が分からなくとも、伝わってくるほどの説得力。全曲必聴。
60年代の異端ロックが時代を超えた名作に
3人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
ギンギンのギターソロもなければ、ド派手なシャウトもない。60年代後半の流行から意識的に距離を置いたようなサウンドが続く。静かでどこか悟りきったようなアルバムであるが、聞き込んでいくと、味わい深いソウル、R&B、ブルースの香ばしいかおりが漂ってくる。きっとこのアルバムを最初から惚れ込む人は少ないだろう。繰り返すうちにその深遠で神秘的とも言えるサウンドや歌詞の虜にされるのだろう。魂のこもったボーカルにシンプルでヘビーなギター。バックビートの効いた変ビートを刻むドラムスとベース。心のヒダに染みこんでくるようなピアノとオルガンのダブルキーボード。ボブディランのエレクトリック転向をサポートしたハードロックバンドとしてしか知られたいなかった彼らが、刹那的で消費されることを目的としていたロックに意味と心を埋め込んだ。ディランのバックメンバーでいることを拒否したホークス時代のリーダーレボン・ヘルムがバンドに復帰し、かつての弟分たちの渋いサポートに徹している。彼がリードを取った埋め合わせ曲だったらしい"The Weight"がザ・バンド最初で最大のヒット曲となった。
ボーナストラックが多く含まれていますが、やはりこのアルバムとは別物。僕はウォーミングアップとして、オリジナルアルバムを聞く前にかけています。
よそ者たちによるアメリカ人よりアメリカ的な心情
5人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
1968年発表。メンバーは言わずと知れたボブ・ディランのバックバンド出身。アメリカの原風景を見せる霊歌的な歌の数々を、20世紀中盤という現代に何の違和感もなく送り出すことに成功した脅威のデビューアルバム。この渋さでほとんどのメンバーが20代そこそこである。2作目以降めっきり減ってしまったR・マニュエルの曲(繊細な名曲多し)が多く入っているのもポイントが高い。

このアルバムを語る上で欠かせないのは何と言っても代表曲となった(5)と(11)。
特に(5)は翻訳が有名な物だけでも5種類あり、解釈がみな違っている。そのため大学時代、語学の教師に聞いてみたのだが、「この曲に出てくる[load]は重荷と神をかけているんだろう」ということだった。
「人生でまた辛い重荷を突き出された、聖なるあなたよ助けて欲しい、どうか自由な体にしてほしい、だけど、だけど、あなたはまた重荷を俺に背負わせる……。」人生の各場面での切ない神への望みを歌った正統派ブルース的な歌詞、というのが正解らしい。
それを聞いて気がついた。本作は(1)からずっとアメリカ人が背負ってきた重荷への哀悼を歌い続け、最後にディランのカヴァー曲(11)が「いつか解き放たれんことを」と締めくくる、哀しみと救いに満ちたスピリチュアルなアルバムだったわけだ。聴くもの全ての苦難を受け入れる包容力。これがこのアルバムの素晴らしさなのかもしれない。
しかし、歌詞が分からなくても以前から私は彼らが持つ歌の世界に郷愁を感じていたわけだし、この分析もアルバムの魅力の一面でしかないだろう。聴く人間が聴いて救われればそれでいいのだと思う。

というわけで、アウトテイクが沢山付いているが、出来れば本来通り(11)でアルバムを聴くのをストップしてほしい。ロックがこれだけ深い音楽だということがわかりますよ。
におい
3人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
エリッククラプトンはディランのデビュー30周年ライブで、ザ・バンドを紹介する際に、「Music from big pinkは人生を変えたアルバム」と紹介している。クリームの解散をも間接的に早めた、と言われるくらいこのアルバムの登場は衝撃的だった!芳醇な香りが漂ってくるようなアルバム。年代もののウイスキーのような味わいがある。人を驚かすような、奇抜さや、手品のような仕掛けはない。真正面から心に語りかけてくるようなアルバム。高校時代、ボブディランの「ベースメントテープス」の良さがわからなかった。あの時代はもっとわかりやすい安易さを求めていた。同じテンションでつくられたこのアルバムまでなおさら手は出せなかった。でもいつかはここに帰ってくる音楽だと思う。

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