イギリス統治下のインドで、一人のインド人医師が、二人のイギリス人女性と親交を結ぶ。−−暖かい老女と、精神的に不安定な若い女と−−ところが、その交友の中で、若いイギリス人の女が、妄想に駆られた行動を取り、インド人医師が、彼女を強姦しようとしたかの様な誤解が生じる。そして、インド人医師は、その身に覚えの無い容疑で裁判にかけられ、事態は、二人を取り巻くインド人とイギリス人全ての対立へと広がる。・・・
性に抑圧的な、ヴィクトリア時代のイギリスを感じさせる空気の中で生きて来た若いイギリス人女性が、そこから解放されるかの様にやって来たインドで、ナショナリズムに目覚めつつあるインドの知識人に出会ひ、そこで不幸な衝突を生じると言ふ物語である。−−この映画の物語では、非は、完全に、イギリス人の側に在る。−−そんなイギリス映画には珍しい物語を通じて、イギリスにとってインドとは何であったのか?インドにとって、イギリスとは何であったのか?を問ふ、真摯な作品に成って居る。
そのインド人医師が裁かれる裁判をあえて不公正な物として描き、インド人法律家に「これが、イギリスの正義だ!」と叫ばせる場面など、かなり挑発的な台本で作られた映画である。
日本人が、中国や朝鮮に対して、過度とも言へる自己批判的な映画を作った例は有るが、イギリス人が、インドにおける自分達をこれほど批判的に描いた例は、他に有るのだろうか?
デイヴィッド・リーン監督の公平な視点に驚きを覚える。同時に、リーン監督のインドへの深い愛情を、私は、感じた。
(西岡昌紀・内科医/東京裁判が開廷した日に)

デイヴィッド・リーン監督の公平な視点
ただの観光映画
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