「ファイヤーフォックス」「ダーティハリー4」「タイトロープ」等と同じくイーストウッドのダークサイド系映画の雰囲気が久しぶりに垣間見られる作品。
出来としては近作の「トゥルークライム」や「目撃」のいぶし銀の映画作りには劣るもののツボをおさえた定石の映画制作は相変わらず堂々と隙がない。
長年イーストウッドの映画を見てきた観客はご存知の通り、彼は一貫して「理想のアメリカ像」を映画の世界で実現しようとしている。その理想が現実のアメリカと違った形であるにもかかわらず、時としてタカ派であるとかナショナリズムの権化のように揶揄されるのは如何なものか。彼が常にアウトローを演じて常に反体制であるにもかかわらず、スタローンの「ロッキー4」と同じレベルでアメリカンヒーローと語られるのはなんともしっくりこない。
「アウトロー」や「ブロンコビリー」では自身の理想とするコミュニティーを作り上げ、その中では大人も子供も男も女も人種に関係なく信頼し合い助け合う。強いものが弱いものを助けることを当然とし、必要であれば仲間のために銃もプライドも捨てる。そういう「理想のアメリカ像」をイーストウッドは撮り続けてきた。「許されざる者」の星条旗の下での最後の演説は、彼が思い描くアメリカの自由と平和を蝕む輩へ向けられた激しい喝であろう。
そのイーストウッドもこの映画では心臓病を患うような役をやっていて、見ているこっちが苦しくなる。しかし、特に取り立ててアクションシーンはないもののアクション映画っぽい雰囲気をつくってしまうのはアクションスターの年季ですね。さすがです。途中、彼がショットガンをぶっ放すファンサービスがうれしい。
主治医を演じたアンジェリカ・ヒューストンがもっとドラマにからんでくればグッと良くなっていたかも。
評価としては星3つが妥当なところだと思いますが、まだまだ現役のイーストウッドを見られる喜びで星ひとつオマケです。