「アイズ ワイド シャット 特別版」のカスタマーレビュー
Tragidy
この作品は、最後のセリフが言いたいがためにキューブリック監督によって制作されたのだろう。最後のこの作品には、それまでの作品の世界観が少しずつ入っているように感じられる。主人公の「世間」的には完璧な人物像が、徐々に虚構だらけだったことが見えてくる。それにしても、ニコールキッドマンは綺麗だ。
巨匠の映画!?
完全極秘で撮影されて途中で助演の女優も代わったり再撮したりと完成までにかなりの時間を要した。飛行機嫌いのキューブリックはまたイギリスにNYのセットを作り上げた。富豪達の乱交パーティーにこっそり入ってしまった医師。性交シーンはやや緑色の照明でまるで昆虫の交尾のように見えるのはやはり巨匠の手腕だろうか。音楽のピアノもわざと音程を外したりして不気味さを出す。だけど仮面で口まで覆っていたらあまりHを楽しめないな、なんて思ったりして見てました。
ただ夫婦愛と不倫を取り上げた物語として果たしてこんなストーリー仕立てで良いのだろうか。そこでまた賛否の分かれるいかにもやっぱりキューブリック的映画。
最後も傑作
3人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この作品に関して言うと、スタンリー・キューブリックファンの評価は、
「最高傑作」と「最後の駄作」に二分されているように思う。
「2001年宇宙の旅」や「時計じかけのオレンジ」を創造するメガトン級の
才能からすると、遺作ならもっと人類を驚かせてよというのが後者の思いかな。
確かに「時計じかけのオレンジ」など超弩級の★★★★★だけど、私なんぞ
体調の良いときに心して見ないと、吐き気がしてすぐ病んでしまう。
それからすると、この映画は、カウチポテトしながら二コール・キッドマンと
トム・クルーズのラブシーンを見れるから好きだ。
映画の中の色使いも出色の出来だと思う。赤や青の原色が効果的に使われている。
全編にではなく、モンドリアンのコンポジションのように、要所要所で登場し、
とてもスマートだ。
なんとなくわかる
3人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
個人的にキューブリックの作品で一番好きな作品。キューブリック独自の世界、映像はもちろんすばらしいですけど、この映画のテーマの嫉妬とそれに相反するような性の欲望が自分的にはピンポイントで効きました。妻の性の妄想に嫉妬しながらも、それに触発された自らの性の欲望と好奇心に振り回される。トムの情けない演技とかっこ悪さがたまらない。人間の、というより男の本性を描いているようで、キューブリック最後にやってくれたな、と思った。
仮面のモドキ
7人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
友人のロシア人がこの映画の最初に使われている音楽はショスタコービッチだと言っていたが、まだ確認していない。キューブリックのことだからそれなりの理由があるのだろう。この映画を見て感じたのは、ひょっとしてキューブリックは神道に興味があるのではないのかということだった。神道というよりはアジアとか東洋といってもいい。そういえばスピルバーグと最後に作ったA.I.の家族の家のインテリアも格子窓など、どことなく日本ぽかった。
一言でこの映画の主題を言えば「モドキの造り出す世界の恐怖」とでも言うべきだろうか。愛と性のモドキ、死のモドキ、アイデンティティーのモドキ、夫婦という名のモドキ・・・・と最初から最後までモドキのオンパレードの映像が連続する。日本人もコスチューム屋の主人の娘のコスプレ仲間として登場する。実際にニューヨークで撮影しないで、フルメタルジャケットなどの他の作品の時と同様に、すべてイギリスで作った、これもニューヨークの町並みのモドキになっている。お見事というしかない。フリーメーソンの活動を映画にしたなどともささやかれるが、とにかく20世紀終末に死んだキューブリックの、21世紀への予言的な怖さがある。極めつけにはベニスの舞踏会まがいの仮面をつけてモドキになる人間の本質がえぐりだされている。最後のシーンでS.ポラックとトム・クルーズが語り合う時、stagedとか fakeといった言葉が印象的に響く。手前味噌だが「縄文人の能舞台」という書名の本も、最も大切な主題は”仮面のモドキ”にある。なんといってもこの本の表紙のカラー写真は縄文時代の三つの土製仮面なのだから。