「山椒大夫 [VHS]」のカスタマーレビュー
美しい日本のDNA。
やはり幼い頃聞いた、安寿と厨子王の微かな記憶が蘇ります。モノクロームゆえに際立つ日本の美しい自然、神に仕える巫女さえも山賊の一味となっている荒廃した平安の世で、人の心を忘れない一家。美しくも心とそれゆえの悲しさと強さを描いた映画として、日本人のDNAに残る映画だと思います。日本人として生まれたのなら一度は見ておきたい映画でではないでしょうか。
神の眼差しで見下ろした人間の悲劇−−溝口健二の最高傑作
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子供の頃、『安寿と厨子王』の物語を知ったの悲しさを、私は、今も覚えて居る。特に、幼い安寿と厨子王が、舟の上で、母親と生き別れに成る場面の悲しさは、幼い私にとって、衝撃的な物であった。−−幼心に、何と言ふ悲しい話だろうと思った事が、忘れられない。
大人に成ってから、その幼い日に知った『安寿と厨子王』の水上の別れの場面の悲しさが、心に蘇った事が、二度有った。一度目は、二十歳頃、都内の名画座で、この映画(『山椒大夫』)を観た時であり、二度目は、北朝鮮が、横田めぐみさんらの拉致を認めた日であった。
この映画は、その『安寿と厨子王』の悲劇を、日本が生んだ最高の映画監督、溝口健二(1898−1956)が、映画化した作品である。底辺の人々を、特に底辺の女性たちを愛した溝口健二らしいのは、さらわれた母親(田中絹代)が遊女にされてしまふと言ふ設定だろう。その母親が、最後に、息子と再会するラスト・シーンの感動の深さは、言葉で表す事が出来無い。−−まるで、神が人間を見守る様な視線で、親子の再会が描かれて居る。−−そして、早坂文雄の音楽も素晴らしい物である。(早坂文雄と言ふと、黒澤明監督の作品が連想される事が多いが、私は、彼が映画音楽の分野で残した最高の仕事は、むしろ、溝口作品の音楽だと思って居る)
この作品は、『雨月物語』や『赤線地帯』に並ぶ、溝口健二の最高傑作の一つである。(そして、世界映画史上最高の作品の一つである。)−−それにも関わらず、かつて、この作品を駄作であるかの様に批評した映画評論家がこの国(日本)に居た事を、私は、恥ずかしく思ふ。
(西岡昌紀・内科医/溝口健二没後50年の年に/吉川友梨ちゃん失踪から3年目の日に)
伝説のラストショット
奥行きを感じさせる画面構成が印象的。
母・玉木(田中絹代)と二人の子、安寿(香川京子)と厨子王(花柳喜章)が
次々襲い掛かる悲劇をただ受け入れる姿は哀れ。
領民のために年貢や労役を免除して左遷される役人、酷使される奴婢たちの
絶望、用済みになって捨てられる奴婢、出家した山椒大夫の息子など、現代に通じるテーマが多く含まれているのは原作者・森鴎外の力。
庶民は悲劇の前に無力である
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奥行きを感じさせる画面構成が印象的。母・玉木(田中絹代)と二人の子、安寿(香川京子)と厨子王(花柳喜章)が次々襲い掛かる悲劇をただ受け入れる姿は哀れ。領民のために年貢や労役を免除して左遷される役人、酷使される奴婢たちの絶望、用済みになって捨てられる奴婢、出家した山椒大夫の息子など、現代に通じるテーマが多く含まれているのは原作者・森鴎外の力。