馬生師匠のレビューのまくらですいません。古今亭志ん生を父に持ち、若くして才能を発揮した志ん朝を弟に持った馬生師匠は、非常に微妙な立場に立ったというのは容易に想像できる。父親以上に食事は「酒」となったのは、そういうフラストレーションもあったのではないかとすら思える。
さて、「富久」は、当時、八代目文楽の十八番で、中々挑戦する噺家ははでなかった。そんな中で、早い段階で馬生師匠が挑戦していたのには改めて驚いた。残念ながら、後の弟志ん朝による「文楽克服」までは至らなかったが、このチャレンジは、賞賛されるべきであろう。
「王子の狐」にはいくつかのバージョンがあるが、古今亭の系統を見事に纏め上げ、後の志ん朝の完成度の高い噺に仕立てている。
これらは正当に評価されるべきであろう。

「富久」「王子の狐」