(上巻のレビューの続き)
読んでいるうちに光景が目に浮かんでくる団鬼六の描写がすばらしく、その美しい光景は嗜虐美の極致と言っても良いでしょう。大勢の群衆が見守る中を、後ろ手に縛られ乳房の上下に縄掛けされた全裸を晒してお蘭が刑場まで連れて行かれるところなどです。高校生の頃、初めて団鬼六を読んだのですが、その頃はまだ想像力の未熟さや人間の心理を汲む力が不足していたせいで、全く良いと思いませんでした。最初の数ページ目ですでに女は裸に縛り上げられ、あらゆる責めを次々にやっていくような小説を良いと思っていました。しかし、責めている男と責められている女のそれまでのいきさつ、また裸にしていく過程でもじっくり時間をかけ羞恥心を煽る、肉体的な苦痛がなくとも屈辱的な言葉で涙を流させる、そう言うことが一番重要だと気づかされたのがこの作品です。

嗜虐美の極致