「立憲主義と日本国憲法」のカスタマーレビュー
善し悪しあり
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それは完ぺきな本というものはないわけで、善し悪しありは当然なのでしょうけれど。
まず、入門書というよりは、他の本を既に読んだ方が、通読して視点を確認したりするのに面白い本なのではないか、と感じた。
また、審査基準についての視点は面白く読めると思う。
そして、手軽に憲法の歴史的位置づけや解釈論の基軸を学べるところは素晴らしいと思う。
しかし、その半面で記述がやや不正確である。
まず、判例の引用が不正確な箇所がある(もっとも、この点は紙面および初学者向けとのコンセプトの下では許容されるかと思われるが)。
そして一番残念なのは、他の方も指摘されているとおりでありますが、『公共の福祉』についての言及が歴史的背景から言って不正確(むしろ誤り)である点である。
以上を総合すると、細かい記述に関しては芦部先生、浦部先生、等を参照してフォローすれば許容されうるもので、大筋として中級者が憲法の奥深さをまず知るために有用な本であろうかと思う。
このテキストの筆者のセンスについて
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すこし、違う観点からこのテキストの「可能性」についてコメントいたします。
実は、私はこのテキストを読んだことがありません。
この筆者の講義を聞いたこともありません。
ただし、法学を大学でかじったことはありました。
一時期、Googleという企業が話題になりました。いまでも話題ですが。
そしてこの企業がリリースしたサービスの中で、「Street View」というサービスがありました。
人によっては、自分が、家で洗濯をしていたりするようなプライバシーの考慮が必要になりそうな映像が、
ネットで白日のもとにさらされたのです。
多くの人が、このStreet Viewというサービスに不信感のようなものをつのらせたので、東京都が動きました。
Googleの担当者を、東京都の庁舎に呼び出して、「おたくのサービスは、あまりにも個人情報への配慮に欠けているのではないか?」
ということを、よってたかって、つめよったのです。
このとき、東京都のサイドに近い立場でいろいろな人がいたと思ったのですが、その中で、「ご意見番」として、このテキストの筆者が
同席していたのです。
Googleの担当者につめよったのは、このテキストの筆者だけではありませんでした。
しかし、この東京都VS Googleの対決の中で、唯一、「個人情報の保護に関連する法令・つまりルールにのっとって、GoogleのStreet Viewというサービスの合法性を検証する」
ということを、やっていた人だったと思います。
StreetViewというサービスに対して、どういう法律の当てはめ方をしたのかまでは覚えていませんが。
私は、この東京都とGoogleのやりとりをみていて、「ああ、この先生は、ルールというものを基準にして、ものごとを判断できる先生なんだな」と思いました。
だから、このテキストは、一読の価値があるなと思いました。
やや微妙
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憲法好きな(相当のマニアな)人であれば、法学教室の野坂先生の「憲法基本判例を読み直す」や、同じく法学教室の石川先生らの連載「憲法の解釈」、さらに法学セミナーの宍戸先生の連載などを読んでいると思われますが、そこにおいても、高橋先生の見解、ひいては本書がしばしば引き合いに出されています。
その意味において、本書を読む価値は非常に大きいと思います。
他方、最新の議論を述べているのに、初学者にも配慮するあまり、回りくどい記述も多いです。たとえば、一例ですが、私人間効力の無適用説の箇所は、むしろ高橋先生自身が芦部憲法で書いているところを読む方がすんなり理解できる気がします。
他の方の、「コンセプトが中途半端」との指摘にはこの上なく賛成です。
ただ、新司法試験的にも、論述の参考になると思われる箇所も多く、やはり「参考書」として読むことをオススメします。
まぁ、本書を絶賛する意見が多いのは、どうかと思いますが。
なお、他の方が「芦部憲法の後継」というのはどういう意味で使っているのかはわかりませんが、少なくともロースクール生としては、(芦部説を批判するとしても)芦部憲法を読まない、という選択肢は有り得ないので、やはり芦部憲法を補充する「参考書」に留まるものと思います。
是非読むべきですが、手放しに絶賛できないというのが正直な感想です。そういうわけで、わざわざ買うかは、迷うべきところかもしれません。
はじめの一歩として
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自由権以外の記述は薄いように思いますが、初めて憲法を学ぶ方には良い教科書となるのではないでしょうか。
他説に対する批判の論拠が薄弱との意見もあるようですが、4人組や渋谷憲法とは違い、コンパクトですから。そこまで期待することは、酷です。
学部生の方はとかく憲法史を読み飛ばしたくなると思いますが、小学校から歴史を学んできたことが、憲法を通してつながりますので、面倒がらずに読んでください。
バランスの取れた教科書
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本書について著者の高橋教授は次のように述べている。「本書は、日本国憲法についての標準的な教科書である。本書が想定しているのは、大学で憲法を初めて学ぶ人たちである。…本書が扱うのは、大学レベルで学ぶ憲法であるから、その内容は相当高度なものになっている。しかも、丁寧な説明を心がけたつもりであるが、紙数の都合で簡略な記述にせざるをえなかったところも多々あり、最初は難解と感じられる読者も多いのではないかと懼れている。しかし、どんか学習でもそうであるが、教科書を一度読んですべてを習得しようなどと期待するのは、無理な話である。だから、少なくとも3回は読むつもりで学習を始めて欲しい。」
著者の言葉通り、本書は憲法についての標準的な教科書である。本文だけで370頁強と分量的に手頃である。憲法学上の各論点についてバランスよく、論及されている。その上、法人の人権享有主体性、人権の私人間効力といった重要論点について、近年の学説の動向をふまえつつ著者独自の説得力のある学説が提示される。重要判例の分析も鋭い。
長く憲法の教科書の定番であった故・芦部教授の教科書に今後大幅な改訂が望めなくなった現在、その後継教科書として有力な存在といえる。