親米派・反米派でなく知米派を増やしたいと語る著者は、私たち日本人がどれだけアメリカという国を理解しているかはかなり心細いという。せいぜい第二次大戦後の超大国としてのアメリカの姿しかしらず、アメリカは建国以来ずっと軍事大国・経済大国であり自由貿易の国であるという錯覚に陥っている人が多いという。それゆえ本書がそのような錯覚を正し、客観的にアメリカの歴史を見つめるのに役立ってほしいと語る。ただタイトルが「500年の物語」となっているのだが、建国時代のことがらについてはさらっと触れるだけで、分量的には現代史のほうに力点が置かれている。あくまで現代アメリカ社会を理解するために最低限知っておくべき歴史という趣旨で執筆されたようだ。
私自身も建国から200年しか経過していないアメリカには学ぶべきほどの歴史はないと思いがちだった。ところが本書を読んでみて、その短い歴史の中にも多くの教訓や知っておくべき点があることを教えられた。たとえば、1987年のブラックマンデーとして知られる株の暴落によって、多くの金融機関が不良債権を抱えて倒産した際、その後始末として破綻した金融機関の経営者に対する責任追及を徹底的に行った結果が、1990年代のアメリカの長期好況をまねいたこと。この時の責任追求は身内に甘い日本社会では考えられない厳しさだったようで、1000人以上が実刑判決を受け損害賠償額の合計が11億ドルにものぼったという。著者は真珠湾攻撃の際に、宣戦布告が遅れるというミスで、日本人はアンフェアな国民だという負のイメージを生みだして国益を損なった、当時の大使館関係者がその後まったく責任を問われず逆に出世している事実を例に挙げて、日米の違いを明確にしているが、まさしくその通りだと思った。

これ1冊で知米派になれる
読みやすいアメリカ現代史の本です!