「だまされないための年金・医療・介護入門―社会保障改革の正しい見方・考え方」のカスタマーレビュー
「だまされた」というのは止めよう
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学習院大学の准教授である著者による、社会保障改革の提言書。年金を
中心として、医療、介護を含めた社会保障制度全般の原則と現状を簡潔
に説明してくれた後、年金制度の賦課方式から積立方式への移行を訴え
ます。この移行は二重負担があって無理と思っていましたが、改革期の
世代だけには押し付けず、とりあえず国に負債を背負った後でたくさん
の世代で将来にわたって少しずつ負担すれば解消可能との提言には納得
です。
また、著者の以下の説明や見解はとても新鮮です。
賦課方式下では「負担の引き上げ」と「給付カット」しか改革手段はない
低福祉高負担か中福祉超高負担しかない
少子化対策を強化しても社会保障問題の解決は難しい
世代間の助け合いは、後の世代への押し付け合いに等しい
若者の投票率が低く高齢者の投票率が高いことは、政治家が、現在の高齢者たちの既得権保護や利益供与のために行動する合理的な道理になる
現在の世代間の不公平は、創設期の高齢者への支払いよりも70年代からの無計画に始まった年金給付の大盤振る舞いのツケによる
また、最後に引用されている伊丹万作『戦争責任者の問題』の文が印象的。
多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。みながみな口を揃えてだまされていたという。私の知っている範囲ではおれがだましたのだといった人間はまだ一人もいない。
「だまされていた」といって平気でいられる国民なら、おそらく今後も何度でもだまされるだろう。いや、現在でもすでに別のうそによってだまされ始めているにちがいないのである。
当事者意識を持つことの重要性を認識させてくれる本です。
大学生から政策関係者まで、ぜひ読んで欲しい一冊
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著者は、学術雑誌に地道に論文を発表し続ける研究者として知られてきた経済学者である。学者の世界の常道であれば、ここいらでこれまでの論文を一冊の学術書にして…というところであろうが、啓蒙書である本書が単著第1冊目となった。
その背景には、昨今の混迷極まる社会保障改革論議への著者の強い問題意識がある。その混迷を紐解いて行くためには、一般の人が手に取る、こいった形の啓蒙書が不可欠であるという切迫感にも似た使命感だ。著者は、本書の出版に学者としてのためらいがあったと「あとがき」のなかで、吐露もしているが、著者の使命感こそ、本来社会科学者に求められているものではないだろうか。2009年日経BP・BizTech図書賞を受賞したのも、そうした使命感に対する評価が大きかったのであろう。
内容は、年金を中心に、医療、介護についても、経済学を使いながら、社会保障制度の解説と著者の考えるあるべき方向性が説かれている。大学生、とりわけ、経済学部の学生は、一見無味乾燥な経済学が、こうして実際の問題に応用されるのかということを実感できるはずだ。政策関係者は、政府の情報の「裏」を知ることができるはずだ。ただし、「入門」とはあるが、内容は高度なので、誰もがスラスラ読むという訳にはいかないかもしれない。また、「入門」としては、著者の考える改革の方向性が前面に出すぎている感がないでもない。それでも、理論と情熱の詰まった出色の1冊であり、社会保障改革を考える上で必読の書である。
社会保障に関する異色の入門書―年金制度等の再設計を目指して
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たとえば、こんな寓話はどうだろうか? 静かな海をクルーズする豪華客船の船底には、実は大きな穴が開いており、浸水も酷い。この事実を船長も船員も知っており、乗客も薄々は気が付いている。だけど、誰もこの現実を敢えて言葉にはせず、海原をボンヤリ眺め、船の沈むに任せている…。この「沈みゆく船」が我が日本国であり、「船底の大穴」は急速かつ大規模に進行する「少子高齢化」という事態だ。こうした状況に警鐘を鳴らしているのが「いささか過激なタイトル」(著者)を掲げる本書である。
当書は、公的年金や医療・介護保険に関する「入門」と銘打ってはいるものの、「少子高齢化」社会の急激な進展を踏まえ、これらの制度の再設計まで提示していることに目を引く。そして、結論的に例を引けば、年金制度については「賦課方式」による「世代間扶養」という考え方を改め、自己完結的な「積立方式」への移行を平易なシミュレーション等も駆使しつつ提起などしている。また、医師や介護労働力の不足問題などに対して、「市場メカニズム」の活用を訴えているのも大きな特徴だろう。
著者の鈴木亘氏は、市場メカニズムをいわば“万能薬”とみなし、マーケットの需給(価格)調整機能に全幅の信頼を置くわけだが、医療や介護という人間の生命や健康、生き方に関わる問題を全面的に「市場」に委ねて良いか、少し疑問を感じる。私は、ミニマムな医療給付や介護サービスなどは、社会保険料等に代わる「社会保障税」又は「福祉目的税化した消費税」など、全額「税方式」で賄う方がベターではないかと考えるが(日本版NHS又は「福祉バウチャー」制度の導入等)、どうであろうか。
もう積立式にするしかない
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賦課方式は人口構成から既に維持不可能、よって速やかに積み立て方式に移行しろと説く。時々「未納者がいくら増えようが年金は破綻なんてしない」という論者もいるが、現役・将来世代の負担を増やせばいくらでも誤魔化せる。500兆の積み立て不足をすべて保険料引き上げで賄った04年改革のように。
現役世代にとってそれは解決とは言わないし、未納者が将来救われるわけでもない。上記のような意見は、年金という金づるを手放したくない厚労省が御用学者に言わせているデマゴーグにすぎない。彼らにとって問題が顕在化するのは、自分たちが死んだ後のことだからどうでもいいのだ。
結局、著者の言うように、我々の保険料は右から左に老人の年金にまわすのではなく、積立金としてプールするしかないのだろう。
子を持つ親ならば、一読すべき
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日本における、社会保障制度の危うさを、改めて感じさせられた。
残念ながら、現状の日本では【長生きするリスク】が非常に高く、
次の次の世代である、今の子供たちに何をしてあげられるのか?
自分の子供が将来、この国で幸せに生活していく為に、
我々、親の世代は考え、行動しなくてはならないと思った。