第一章が台無し
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よく何かにつけて「昔はよかった」などと回顧するノスタルジジイの顔に叩きつけるには良い本である。昭和33年の日本が、映画に出てくるほどきれいな世界ではなかったことが分かる。
こうしたことを面と向かって言う人は、なかなかいなかった。
だからこそ、第一章の「日本は島国で湿気が多く、天候が変わりやすいから未来に対して心配性」とか、「ヨーロッパは平原が多いからチャレンジ精神が旺盛」と言った記述はトンデモ科学のレベルであり、この本の評価をがくっと下げざるを得ない。
また、昔と比べた「今の」日本の良さが、インフラや経済といった物理的な面に限られているのもちょっと残念。そうしたハード面の評価だけだと、「物的な豊かさは手に入れたのに、その反面今の若者は…」といったソフト面の評価を下げるような言説に抗えない。まぁそこまで期待する本でもないのだろうけれど。
日本人の予想だにしない気質が暴かれる
7人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
実にユニークな観点を持った著作だと思います。
映画『ALWAYS 三丁目の夕日』が“美化”する「昭和33年」にフォーカスを当て、
実際は映画に描かれていたほどは「あの時代」は希望に満ち溢れていたわけではなかったのだ、と著者は力説しています。
それと「同じ視点」で、今現在から見た日本の将来像も決して悲観するものでもない、とこちらも力説。
昭和33年と現代の日本。「同じ視点」とは、両時代に共通する“日本人特有の時代観”についてのことです。
その“時代観”ゆえに日本人は「過去を美化し過ぎたり」、「未来を悲観し過ぎたり」する、というのです。
そこを立脚点に、なぜそういった経緯になってしまったのか?実際の昭和33年の姿とは?が検証されていきます。
著者はかつて商社マンだった頃から、ナイジェリアやインド、ポルトガルなど世界各地への赴任の経験が豊富なので、
海外の多種多様な民族と日本民族を客観的な視点で比較できます。
だから“日本人特有の時代観”を発見するに至ったのでしょう。
そんな著者の洞察力や国際感覚溢れる言葉・文章は含蓄に富んでいて、経験者ならではの説得力も併せ持っています。
昭和33年当時の政治・経済の検証の章は分かり易いし、同じくメディア、社会・スポーツの検証の章は興味深く読み進められます。
著者と同じ団塊の世代の方々に特に本書をオススメします。
最終章は共感される方と、首肯しかねる方とに、意見が分かれるかと思われますが・・・。