定本 畸人研究Z (ちくま文庫)

筑摩書房 [文庫]
(2004-06-10)
EAN:9784480039415
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「定本 畸人研究Z (ちくま文庫)」のカスタマーレビュー

宇宙の一歩外だけでは…
4人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
全編、ちょっと変な人の表層的な紹介にしかなっていない。

一つ、例を挙げれば最初の"数列畸人「ナンバーズ」の謎を追え!"
ここでは、道路にチョークで数列をダーっと書く人を紹介しているが、
彼はなぜ地面に数列を書くのか、数列は何を意味しているのか、そういった質問をしても
彼の返したノーベルだの、イヤリングだのの、単純な言葉のレベルで立ち往生するだけで
そこから先に話を進めようとせず、ここにこんな人がいた、その人はこんなことをしていた、的な記述にとどまっている。

全編がこんな調子か、それ以下の当たり障りの無いドキュメンタリーもどきで埋め尽くされている。

知りたいのは奇矯な行動が彼らにとってどう位置づけられているのか、だ。
彼らにとってその行動は何を意味しているのか、どういった秩序に基づいてそれを行う理由が
できていったのか、そういった独特の論理性こそが著者や私達に、
畸人に対するある種の憧れを抱かせる原動力なのに。
(p325の正しい畸人はエネルギーに溢れている云々というくだりを見る限り、
著者はこのことに気づいているはずなんだが)

もっと突っ込んで質問するなり、丹念に行動を追うなりして
彼らの美学、宇宙観をきちんと描き出すべきだ。

追記
内容紹介に偽りあり。
"まったく新しい数列を用いてノーベル賞をめざすオヤジ"、とあるが
彼は「世界一でなくては」、「ノーベル」とつぶやいていただけで、
実際に目指しているかどうかの言質をとっていない。

また、"工事現場で惑星を作っている“ラム王国の王子”"については
「惑星を作っている」と本人から聞いただけで、その言葉が字面どおりのものを指しているのか、それとも他の行動を示すある種の符丁なのかどうか、そういうことを尋ねてもいないし、そもそも実際にその現場に行って、見たわけでもない。
さらに情けないのが彼と会話した時のシチュエーションで、著者はべつに取材に行ってきたわけではないのだ。もともと彼、“王子”は著者の仕事場のお客としてきていただけで、後に取材に行くことも無く、きちんとしたインタビューも取らずにその時の彼との応対、および同僚の話のみを元に記事にしているのだ。

こんなお粗末な代物を「綿密にフィールドワーク」と称するのは不穏等極まりない。
現代畸人研究の集大成
5人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
本書はまず「畸人」とは何者かを定義し、数多の畸人達を分類、
報告してゆく。
いわば現代に息づいている、常軌を逸しながらも独自の世界観・宇宙観を
放出し続ける「畸」なる人々の一大アンソロジーなのである。
その取材は日本各地に及び、さらに海を越え、インド、ニューギニアまでも。
まさに畸人発掘に命をかけた畸人研究学会のただならぬ意気込みに
感服するばかり。
とにかく紹介されている畸人達は濃密かつ質が高い。
路上にタテヨコ2センチ程の数字を幅1.5m長さ5mまで及ぶ数列に
なるまで延々とチョークで書き続け、それを作品とする路上生活おやじ!
その作品名はイヤリング!何故!?
中野斎藤会館の前で、何かがストーンと天から降ってきた瞬間悟りを開き、
他人のゲロを舐めて修行とする自然和尚!思想の起源は何と老子荘子!
建築基準法も建築学も一切無視!オレの家の屋上にゃ~飛行機一機
そのまま乗っけてるよ!
…とまあ例を挙げればキリがないんですが…いやはや、もう、壮絶。
がしかし、彼らの到底マトモでない、強烈過ぎる主義主張を笑いながら
読む傍ら、ひょっとしてこの畸人達は常人が見失っている大切な「何か」
をひたすら守り続けているのではないか…
そんな気がしてならないんですよね。
畸人研究・電波人間探訪の権威、根本敬先生のインタビューもあったりして
とにかくそのスジがお好きな方には垂涎必読の一冊でございます。

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