1975年に桃源社から出た単行本の文庫化。ちなみに1986年の光風社出版版もある。
織田信長配下の雑兵が運命に転がされながら、次第にのし上がっていき、最後は徳川家康の家臣になるまでを描いた長篇歴史小説。
といっても、華やかな出世の物語ではない。まず、本人にやる気がない。臆病で体力・知力も普通。偶然や幸運から手柄を立ててしまうのである。しかも、途中で商人に転身してしまったりもする。しかし、その生き方が面白い。悩んだり怖がったりするところに人間味があり、物語としての奥行きを感じさせるのだ。
もうひとつ物語を彩るのは、さまざまな女性たち。いろいろなタイプの女たちと、それぞれに独特な関係を結んでいく。そこに工夫があり、余韻が残る。

戦いと女