1969年に桃源社から出た単行本『無頼の残光』の解題・文庫化。
「無頼の残光」「戌年の寵臣」「天一坊断罪」「お七追慕」「駈落ち」「望郷戦歌」「首」「東海道島田宿」「生きのびて」「新島の流人」「あれよ、あれよ」の11篇が収められている。
いずれも時代小説だが、「無頼の残光」「戌年の寵臣」「天一坊断罪」「お七追慕」「駈落ち」は実際に起きた事件、史実をもとに書かれている。とはいえ、著者独自の色合いが加えられており、なかでも「天一坊断罪」の結末にはニヤリとさせられた。
表題作の「駈落ち」などは、江戸時代に起きた駆け落ち事件を、ほぼそのままなぞったもの。箇条書きで事態の推移が語られていくだけなのだが、味わいがあって面白い。
完全なフィクションの6編は、奇妙な味わいのものが目立つ。アレッという結末で、盛り上がりも抑えられているのだが、不思議な余韻が残る。

史実から