1973年に桃源社から出た『目明しやくざ』の改題・文庫化。ただし、文庫化に当たって「目明しやくざ」は除かれている。
「餌差の辰」「髪結い藤吉」「斬る」「雪と月と花」「同病三人」「夢の新左衛門」「貞女の淫」の7編が収められている。
いずれも一話完結で江戸の事件や出来事を描いたもの。アイデアが凄い。ひとひねりあり、予測もつかない展開を見せる。この著者独特の切れ味であり、感心させられた。
しかし、アイデアだけではない。会話の場面、情緒ある描写、登場人物の工夫と、どの部分を取っても素晴らしい。味わい深く、読ませる作品なのだ。
もっと評価されていい作家だと思うのだが…。

アイデアだけではない