歴史小説8本からなる短編集。
収められているのは、織田信長の夢と最期を描いた「夢魔の寝床」、淀殿の晩年を垣間見る「大坂城の女」、家康の伊賀越えを題材とした「長い賭け」、会津藩内の殿と家老の争いを取り上げた「駕籠の中」、綱吉治下の豪商をテーマとする「伊達くらべ元禄の豪商」、意図せず彰義隊に加わってしまった青年を描く「二人の彰義隊」、佐々木高行を主人公とする「好機を逸す」、伊藤博文暗殺未遂事件を扱った「ある憂国者の失敗」。
いずれも、歴史的な事実や事件を中心に据え、そこに小説としての肉付けを施したものである。多岐川氏にはこの手の作品が結構多いが、もうひとつ感心しない。アイデアの冴えが命の人だから、こういう歴史小説的なものは向かないのではないか。
それでも、それなりに面白い。

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