同じひとつの素材を対象としながら、まるで正反対の主張が可能となる。
それはレトリック=詭弁と呼ばれ、禁じ手とされてきた。
本書で面白い観点が提示されている。運動をする。長距離走で息を切らせ短距離走で瞬発力を養う。
しかし日常生活でそのような「不自然」な行動を行うことが実際にあるであろうか。
それを必要とするのは、「不自然」が「自然」をより豊かなものとする下地となるからである。
レトリックも然り。
不自然であろうとも詭弁であろうとも、その仕組みを学び、訓練し、使いこなすことで、
我々は作文技術の基礎体力を向上させることが可能となるのである。
そして、本書の作文の訓練は、自分の意見や主張を述べるにとどまらず、
自分では思いもしなかった発想に出会い、思考の壁を叩き壊す術も提示してくれる。

作文の功罪