自ら銀行の幹部まで上り詰める一方、作家として多くの小説、とくに経済小説を送り出してきた山田智彦の、最高傑作。のみならず、日本の企業小説のなかでも最高峰の作品である。
90年代以降、破綻と合併の中で、日本のメガバンクは3大グループにまとまってきた。おそらくこの小説はその一断面を素材にとったものであろう。
巨大銀行の働き盛りの行員で、互いに親友同士という数人の男たちを中心に話は進んでいく。そこに持ち上がる合併の話。同期の友人たちは、各々合併賛成・反対の幹部たちに重用されることになり、友情と立場との間で微妙な位置関係になっていく・・・。彼ら出世競争もからんでくる。
そんな人間関係を描きながら、しかし昼ドラ風に暗くならず、さわやかな後味がのこる物語である。このような筆力を持った人はそうはいないだろう。
のちにNHKでもドラマ化され、好評を博した。


企業小説の最高傑作