この書は故米原万理の「打ちのめされるようなすごい本」の中に紹介されていたのがきっかけで読んでみた。
文章を書くことは苦手と謙遜されているが、まるで小沢昭一さんの声が聞こえてくるようで、米原さんではないけれど声に出して読みたくなるほどの名調子。俳句に精通しているだけに、小気味よく軽妙な筆致である。
内容はこの十年くらいに書かれた新聞、雑誌などのエッセイや本の後書きなどを集めたアンソロジーである。
少年時代から現在までの遊びにまつわること、俳句や落語の話、自分と関わりのある著名人との思い出話などが中心で、懐かしい話も多く、肩の凝らないそれでいて人生の真理を穿つような内容である。特に本書の中の「江國滋さんをしのぶ」は感銘を受けた。
「幸せは、ささやかなるをもって極上とす」(本文P225)は、けだし至言。読んで心が晴れ晴れとしてくる本で、特に中高年にはお勧めである。

水の流れるごとくの流麗な名調子