雲ながれゆく (文春文庫)

池波 正太郎
文藝春秋 [文庫]
(2006-02)
EAN:9784167142858
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「雲ながれゆく (文春文庫)」のカスタマーレビュー

お歌さんに惚れた!
ぼくは週末、家にいるときは半身浴をすることにしている。
それも1,2時間も入っている。
当然、時間を潰すためのツールが必要になるわけだが、それが本なのだ。

電車の中でもよく本を読むのだが、小説のようなものを一気に読んだ方が面白いので、この半身浴長風呂に最もふさわしいのは小説なのだ。
お気に入りの作家は、清水義範、宮部みゆき、西村寿行、そして池波正太郎ということになる。
最近いちばん読むのは、池波正太郎なのだ。

そして、この「雲ながれゆく」だ。
主人公は「お歌さん」

3年前にご主人を亡くし、店は弟の福太郎に譲ったのだが、福太郎がしっかりしていないため、店を切り盛りしている。
そして、福太郎はそれをすねているため、とうとう実家(兄が継いでいる)に戻ったところ、義姉が病弱のため、実家(料理茶屋)を手伝ってくれといわれるという、しっかり者なのだ。

そこに、仇討ちを背負い込んだお侍さんと、めっぽう強い謎の浪人物が絡んで、途中で読むのをやめられなくなるというわけだ。

お風呂の時間だけでは読み切れず(346ページ)、寝床の中で最後までを読んでしまった。

しかし、不思議だ。
結局、お歌さんは、店の者を仕切っているといいつつ、やっていることは昔の味に戻せというのと、お得意様回りだけなのだ。
具体的な活躍はないのだけれど、池波正太郎の筆力により、とても魅力的な人になっているのだ。
楽しく粋な、江戸の娯楽小説
6人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
時代小説家はたくさんいる。
代表的なところは、司馬遼太郎と藤沢周平というところか。
この両者を大御所の両極として、池波正太郎の小説は、どちらか言うと藤沢周平に近いか。
私としては、藤沢周平は、やはり山形を舞台にしたものに名作が多いと思う。
江戸モノはそれに比べるとちょっとクセがあるような。

おっと池波正太郎の本のレビューが関係ない人の事で字数を使った。
その意味で、池波は、江戸を書かせるとひときわうまい。
江戸の庶民でも、旗本や官である奉行所側でも、池波に書かせる江戸は楽しい。

本小説は、特に、池波のものはで余りメインではない、女性を主人公にしたもの。
これが小粋で、勇ましく、かわいらしくって、ちょっと艶も有り。
いいんだなぁ。
うまぁーく剣劇も混ぜて、実に楽しい娯楽小説です。
江戸の女の心意気
5人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「夜明けの星」「乳房」と読んできて、三冊目のこの本。司馬遼太郎もそうだけど、この手の本の中の古い言葉「〜殿」とか「ようござんす」とか読んでいると簡単に世界に入っていける。ベトナムやドイツで読んだときも当たりで一気に読んでしまった!

ほんのちょっとしたことをはじまりに主人公和菓子屋の女主人、お歌の人生が変わってしまう江戸時代の話。

周りの気持ちはいつも考えていて誰に対しても家族のような愛情をもって接しているお歌と、対照的に運命の人に対しては初々しい恋する乙女になっている姿、両方にグッと来た!
最後は希望があふれて温かなエンディングで素晴らしかった。

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