さすが、著者は当代一の読書家、しかも本書を読んでもわかるように−−−読まなくても、このタイトルを見ればわかるか(笑)−−−、書物を愛すること、人後に落ちない愛書家。学者と一口に言ってもさまざまな分野があり、研究方法もさまざま、そのあまたある学者先生の中でも、「史学」つまり「歴史」を取り扱う先生方は、読書量において他の分野を圧倒しています。「活字を一日でも読まないと、目が腐る」などという生易しい程度のことではありません。かの哲学者、ニーチェ先生(実は古代ギリシア研究の文献学者としてデビューした人です)も、毎日五百ページは読まないと、一人前の学者とはいえない!、と言っておられます。
本書の優れている点は、そうした本当の読書通の目を通して選ばれた、選り抜きの書物が並んでいるということはもちろんですが、著者が心から書物を愛するゆえに、変な見栄を張ってことさらに難解な本を推薦したりしないで、わかりやすく、かつ内容の優れた良書を挙げていることです。つまり本書は、学者臭いペダンティックな厭味がまったく感じられない、きわめてさわやかな読後感をもたらす好著です。心から楽しんで本を読み、その楽しみと喜びを他人にも伝えたいと、うきうきしながら紹介しているかのような本書の叙述を読むと、挙げられている書物を本当に読みたくなること請け合いです。小生も実際に本書の書評に引かれて何冊も読んでみましたが、どれもよかった!

極上の書評集!