数学的にありえない〈上〉

Adam Fawer, 矢口 誠
文藝春秋 [単行本]
(2006-08)
EAN:9784163253107
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「数学的にありえない〈上〉」のカスタマーレビュー

ラプラスの魔とスピード感のある展開が魅力
 「世界16カ国を興奮させた2006年最大の電撃サスペンス」を歌い文句に「確率論と未来予知」をテーマにした知的サスペンス。その分野への興味が湧く面白い作品でした、展開が早く、上下巻合わせても文章量は多くないので一気に読める作品だと思います。

 ダヴィンチコードを凌駕するという評価ですが、ダン・ブラウンの作品で言うならダヴィンチコードよりかは、「デセプションポイント」と比べるべきだと思います、そしてこの「数学的にありえない」はそれには及ばないと思います。その理由は以下です。

 ダン・ブラウンの作品と比べると、展開と視点ごとに短い章でくぎるのは同じなのですが、上巻から中盤にかけては展開が幅を広げるので、「読みにくい、解かりにくい、飛びすぎ」という印象を受けるかも知れません、そこは読書力や想像力や知識力によると思うので個人差があると思いますが、問題なのは「広げた展開が終盤にあっけなくまとまってしまう」点にあります、これは「ラプラスの魔の力だから」と言う理由では片付けられない尻つぼみ感があり、ラストでもっとドンデンして欲しかったなあと思います。ただ、逆に言えばダン・ブラウンは別格だということを改めて証明しているとも思います。

 
 批判しましたがその点を差し引いたとしても充分に面白い作品だと思います、ダン・ブラウンの作品が宗教や科学への興味を誘い出す効果があったように、この本には数学や物理への興味を誘い出す効果があると思うのでそういう意味では学校の授業に退屈している中学生にお勧めしたいと思う。文字どおり「未来に確かなことはなく選択肢は無限にある」ということを楽しくレッスンしてくれる。また、この作品は所々「人間味」もあるのでそれが面白いとも言えると思う。映画化するときっと面白い作品になると思います。

 最後に。アダムが失明の恐怖を抱きながらの闘病生活を救ってくれたのは、「医師や両親でさせ与えてくれなかった”逃避”を与えてくれる唯一のもの」というエンターテイメント小説だ、と訳者あとがきに書いてある。確かにこの作品はそれを実現していると思う。
やはりお薦めできる
冒頭は一気に伏線が張られます。
しかし、退屈しない語り口であり、時折はさまれる面白数学講義等のお陰でサクサク読んでいけます。
中盤からは壮絶なスピードと内容の濃さに圧倒されます。パズルのピースがカチリと合わさる感覚は最高。
物語としても、簡単な科学史としても最高度の完成度です。

「神は沈黙せず」を楽しく読めた方ならこの本は買いです。
偉大なる才能の登場
4人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
オリジナルは2005年、翻訳は2006年8月25日リリース。筆者のアダム・ファウアーは1970年生まれ、年少時に病気で視力を一度失うとともに少年時代の多くを病院で過ごした経歴を持っている。

素晴らしい才能だ。そして今までのどのミステリ作家にも似ていない。似ていないが次々と爆発するスピード感溢れる筆致に僕はジェフリー・ディーヴァーを連想した。そしてもう一人連想したのは荒木飛呂彦だ。この作者の持つイマジネーションは荒木飛呂彦に似たものがあると思う。

ケインが『すべてのとき』にアクセスする時、それは荒木飛呂彦の創り出したスタンド、ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムが創り出す『何処にも決して到達しない』と同じ感覚なのでは、と思った。間違いなく今世紀を代表するであろう偉大なる才能の登場だ。
やはり西洋的。。。
面白かったです。購入後、3ヶ月位ツンドク状態でしたが、何気なく手にとって読み始めると、これがなかなかよくできた作品で、しっかり半徹してしまいました。底流にある思想?思考?は、なんともキリスト教的な世界観であり、それはそれで面白かったです。次回作が楽しみな作家に出会えたと思います。
集合的無意識ってあるの?
 あんまり数学の知識がなかったので、ふだんの生活と数学の確立をリンクして考えられることが新鮮でした。事象を100パーセントの確立にすること、すなわち未来を予言することは、全ての情報を手に入れること自体が無理なのでできないのが当たり前のことですが、なんとなくがっかりしてしました…。笑。
 SFとかでよく見るシーンですが、未来に起こりうる様々なバリエーションをみる(繰り返す?)場面がいつみても怖い…。サスペンスとして楽しめました。

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