多くの現場を踏んだ人の説得力
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つくづく感じるのは、こういったオープンなミーティングそのものが、日本にはまだまだ足りないなということでした。たまにNHKで行なう生討論がせいぜいという気がします。
ロス博士が行なったこれらのミーティング以降、患者と死と、その家族に対するケアの在り方について、世界中が初めて考えさせられ、変化を促されて来たのではないでしょうか。
病院なのに、二言目には牧師や神といった言葉が飛び出すのが当たり前の欧米と日本では事情が随分と異なりますが、長年、医療者の“都合”を主体、患者やその家族をあくまで“対象物”として取り扱って来た日本の医療現場も、“痛みや心のケア”“患者と家族の癒し”について、ゆっくりとながら、確実に変わって行くものと思います。
ロス氏の言葉には、国や宗教の壁を遥かに超えた非常に深いメッセージ性が込められているように思えます。
医療従事者に限らず、我々全員が必ず迎える“死”について、もう少し前向きに考える機会になるのではないでしょうか。
これ、読みたかった本です!
17人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
「こういう本が読みたかった」と思う本はいくつかありますが、「この本が読みたかった!」とドンピシャ思える本にはなかなか巡り会えません。その意味で、この「「死ぬ瞬間」をめぐる質疑応答」は、医療関係に縁のない私にとっても得難い本です。
著者エリザベス・キューブラー・ロス氏は終末医療の世界的権威であり、立花隆氏も「臨死体験」でインタビューしています。立花氏によると本著を始めとする「死ぬ瞬間」シリーズは、世界中の医者、看護師の必読文献になっているとのことです。それほどまでに医療界に影響を与えた著者、著作、です。
質疑応答形式で構成されるこの本、質問者はおしなべて「臨死患者に接する普遍的心構え」あるいは「何かしら普遍的な理論」を知りたくて質問しているように思えます。そこには「自分には荷が重い」という思いもあるようです。それに対する著者の解答は、「まずは接してみなさい」「臨死患者から学びなさい」と、端的でありながら、逃げることなく場数を踏んできた圧倒的な存在感に満ちています。
死に臨もうとする患者、視力や手足を失った患者を前に、「とてもムリ!」と逃げることなく、自分も接することができるかも知れない。そんな心になれる本です。