本書はヴェトナム戦争(第一次、二次インドシナ戦争)のヴェトナム人民軍総司令官、ヴォー・グエン・ザップ将軍による、ゲリラ戦の教科書です。
本書の一番の見所は何と言ってもマルクス・レーニン主義のヴェトナムにおける適用の仕方、特に軍事情勢の見方に対する適用の仕方です。インドシナ共産党の打ち出す方針のいたるところに唯物論や弁証法の思想が、生き生きと脈打っているのが手に取るように分かります。圧倒的な劣勢でのフランス、アメリカへの勝利は、まさに理論の勝利だと言えると思います。
本書はアメリカとの泥沼の戦いの最中に、必死になって戦っているヴェトナム人民に宛てて書かれた文書なので、「自画自賛調」で記されています。戦争とは直接関わりのない現代の日本人にはかなり違和感を感じると思いますが、字もろくに読めないような農民たちが砲撃の最中に寄り集まり、一字一句読み合せて戦争の大局を掴んでいた歴史的な書であると思えば、納得がいくかと思います。
膨大な人民の苦悩と犠牲の上に打ち立てられ、今なお人民のあり方を理論的に示唆する、歴史的な一冊です。

生き生きと脈打つ思想