現在手に入る河合隼雄氏の一般向けの著書の中では、
この本は比較的若い頃(五十代)のものである。
六十代以降の好々爺的な作品とは違い真面目な雰囲気だが、
難解ではない。
三十年近く前の著書にも関わらず、現代の働く人にも
十分に参考になると思う。
私が本書で最も秀逸だと感じたのは、P.124から記されている、
“場の倫理と個の倫理”の節である。
以下、要約すると、
組織において、下位の者は意見が通らないと
「上役の権力で抑えられた」とその者は考える。
上位の者は自分の思い通りに事が運ばないと
「近頃の若者は身勝手だ」と嘆く。
日本では組織の上位の者も下位の者も皆、
被害者である我が身を嘆くという奇妙な構図になる。
著者は、「両者ともに間違っている。日本ではすべての者が
“場の力”の被害者である。」と論じる。
“場の力”が何であるのかは是非本書をあたって欲しい。
私は、自分が働くようになってからずっと解けなかった、
組織の中で皆が被害者という構図の意味が、
この本によりようやく理解できた。

現代でも十分参考になる著書
50歳は働きざかり?