短歌を定型意識、韻律感覚、語彙の選択、修辞力、歴史観、社会観を超えて、「実存の輝き」として捉えていく読みには、とても説得力を感じました。もちろん、その前提としての「定型意識・韻律感覚・語彙の選択・修辞・歴史観・社会観」からの短歌の分析も忘れていません。非常にリアルで肌触りがありました。確かに後半にかけて、情熱がほとばしるあまり、難解な言い回しも出てきますが、決して「語りたいこと」がないのに無理矢理に語っているような空回り感はありません。「語りたくて仕方ない」という感覚が伝わってきたので、私はこの一冊を読んで、よかったと思いました。
特に最終章「世界を覆す呪文を求めて」は、「世界の気味悪さ」を感じたことがある人なら、共感するところが大きいと思います。「世界の気味悪さ」から始まって、自己肯定していく過程を、圧倒的な語彙力で書ききっています。思わず私は涙ぐみました。

なぜか泣きそうになった短歌評論
難解