「たま」の本。であると同時に、亡くなられた竹中労さん自身について窺える本でもあります。竹中さんの魂のスクリーンに映る「たま」という幻燈をゆらゆらと見ているような、そんな感じです。そこには美空ひばりを始めとする昭和の歌謡や、沖縄の島唄や、李賀や韓愈の詩、それらすべてのものが「たま」の音楽世界に渾然となって流れていきます。「たま」というバンドについてのバイブルであるのはもちろんですが、竹中労さんという人間に魅せられた人間にとっても必読の本です。
竹中さんがたまのことを「現代のビートルズだ」と発言したことについては、もちろん音楽史に残した業績やムーブメントは比較のしようがないほど違いますが、そういったものを一切取り除いた剥き身の「ピートルズ」、つまりポール、ジョン、ジョージ、リンゴの心が触れ合って、そして消えていった光の美しさと同じものを、竹中さんは「たま」の中に見ていたのではないかと思います。

「たま」と竹中労さん
たまのデビューからブレイクした絶頂の時の記録