言わずと知れたダンテ作『神曲』。本文庫はその第一部となる地獄編である。
物語の筋としては、森に迷ったダンテがウェルギリウスをガイドに地獄を見て回り、今後煉獄と天国へも行く予定、
というただそれだけのことだ。一言で言えば本書の内容は地獄ツアーである。ダンテはこの地獄という場所を、
細かく分けて描いており、地獄は地獄でもいろいろな段階がある。地獄に落とされた者たちは、
生前に犯した罪の種類などによって細分化されて収容されており、各人に応じた責め苦を受けている。
殺人などの重罪よりも、寧ろ人をだましたり裏切ったりした者が特に重罰を受けているのが興味深い。
地獄にいるのは古代の人間(キリスト教がまだなかったために居る者と、カエサル暗殺などの行為を行った為にも居る者とがある)、
神話世界の人物(オウィディウスの変身物語に出てくる者たちや、トロイ戦争の人々など)や、
ダンテの生きたイタリア、殊にフィレンツェの政争に明け暮れた貴族や聖職者たち(教皇までいる!)などさまざま。
とにかく頼りになるガイドであるウェルギリウスに付いてゆくダンテと共に旅していくと、
ダンテがどのような者を地獄のどの部分に入れたか、そこにダンテの考え方、痛烈な批判・皮肉があらわれ面白い。
内容は難解ではないが、イタリアの政治抗争がややこしく消化しきれない部分もある。また、本文は大きな字で読みやすく、
すぐ下に註も付され理解を助けてくれるが、普段目にしない漢字や言い回しが多く、大部の日本語辞書を手元に置きたい。
本文中には18-19世紀の英詩人ウィリアム・ブレイクによる挿絵が組み込まれ、その解題もついている。

国語辞典をお供に
悪くはないが、、、、
できれば豪華版で