壬申の乱に勝利し、天武天皇として即位した大海人皇子。本作はその大海人政権前半(西暦672〜79年)部分の展開が描かれていますが、その中で私が特に興味を持ったのは高市&十市カップルと大津皇子の成長です。
前者については敵であった近江天皇(大友皇子の事です。)の皇后であったのと同時にその敵を倒して即位した大海人皇子の娘だった、複雑な立場故に高市との恋が実る事のないまま、自殺した十市ですが、個人的には彼女の悲劇には共感もてません。専制的な大海人政権の反動等から近江朝廷時代を回顧する人もまだ多い中、壬申の乱でMVP級活躍をした高市との噂を持たれるような接触を繰り返した事は軽薄以外の何者でもありません。これでは大友皇子がますます可哀想ですし、耳面刀自の発言も一見「感情的に喚く嫌な女だ。」と思われるかもしれませんが、彼女の立場から見れば、反感を持つのも無理はありません。大海人も、彼女の屍を見て、泣いたのは史実ですが、彼の「親」としての判断は間違ってなかったと思います。
後者は讃良の拒絶的な反応もものともしないで、山辺と結婚した大津の成長は後に大きな火種を残す事となります。まだ子供だった彼に讃良の反応の背景の理解を要求するのは酷でしょうが、その軽薄なお坊ちゃん根性が・・・・・・・・・
十市と大津には批判的な私ですが、作品自体は決して嫌いではないです。葛藤の中で病気となった讃良は・・・・・・・・・・・

大海人政権前編