それが事実であるか否かとは関わりなく,結婚=幸福と考えられている。
男性に比べて,女性は,結婚さえしていれば幸福であり,結婚していない女性を見下す権利があると考える傾向にある。
《女性には,中身のない「幸福」で補填しなければならないほど,欠けているものがあるのだろうか。あるいは,中身のない「幸福」によって,それを持たない人との差異を確認し安堵しなければならないほど,不全感が強いのだろうか。
残念ながらその要素は否定できないと思う。
それが生物学的な差によるものか,精神分析的な無意識の性差によるものか,あるいは「女性らしさ」という後天的な刷り込みによるものなのかはわからないが,多くの女性には,中身のないもので補填しなければならない欠落感や,人との比較でかろうじて自己確認しなければならないほどの不全感がある。》(167〜168頁)
筆者は,上記のような分析を踏まえて,次のように提言する。
《結婚や出産をするかしないか,が問題なのではなく,そうした人としない人がおかしな罪悪感や劣等感,敗北感を抱き,自分とは違う選択をしたどうしが”仲間割れ”を起こしたり,「私がこうしたかったわけじゃないのに」と選択の責任を親などの他者にかぶせたりする状況,さらにはそこに国家が介入してきて罪悪感などをかき立てるような状況こそが,大きな問題なのだ。
私たちが目指すべきなのは,そういったおかしな感情,競争,社会の圧力からの解法であって,気持ちが本当に自由になれば,そこから後は結婚しようとしまいと,出産しようとしまいと,実は大きな違いはないはずである。そして,結婚した人もしなかった人も関係なく,「ああ,私の人生って充実してる」と満足感や肯定感を持てるはずなのだ。》(227〜228頁)
結婚・出産が女性にとって全てではないし,必ず幸福につながるというわけでもない,という当たり前の事実に,もう一度目を向けさせてくれる本。男性にとっても,結婚・出産ということの意味・価値を改めて考えるきっかけになるのではないかと思う。

結婚=幸福,という大前提を疑うこと
誰かから見た幸せではなく
男性向けだと思われます