曰く。少子高齢化が進む日本においては、活力の源泉でありかつ日本の特徴である高い水準の貯蓄がいずれ低下するため、残された時間は少ないと論じます。にもかかわらず、日本は、民の富を十分充実させてこなかった。その背景には高すぎる土地問題や、高度成長期には意味のあった日本型雇用慣行や、消費者軽視のシステムがあった。アメリカとの戦後ながらく続いた関係も転換点にあるので、官僚任せの貿易政策を㡊??めて、積極的にWTOなどの枠組みに貢献しよう。
1993年以来、日本は円高と冷夏とゼネコン汚職による公共事業の停滞と対中国輸出の引き締めのせいで不況に陥っている。そんな中での処方箋としては所得税減税より公共投資を増やそう。政府の430兆公共投資基本計画は不十分で、530兆出そう。首都移転もやって、政治主導の政府にして、増税もやっちゃおう。これが日本のラスト・チャンス。ちなみに、本書の中では金融機関の不良債権に関する記述はほぼ見当たりません。
もちろん、本書の上梓から9年近く経っており、その間状況変化もあり、本書の著者の現在の主張との整合性をいちいち突っつくつもりは全くありませんが、まぁ、現在、我々国民の生活に直結する政策を決定することが出来る日本屈指の権力者が、当時どのような考え方を持っていたか知ることができる興味深い本といえましょう。
ちなみに、今は亡き金丸元副総理は、この書が世に出るずっと前に、公定歩合の引き下げ(当時は金融緩和の代名詞でした)をしない日銀総裁のクビなんて切ってしまえ、と発言をして物議をかもしていました。また、宮沢元総理は、金融機関の不良債権対策のための公的資金注入の必要性について真剣に検討していたそうです。

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