骨の火 (講談社文芸文庫)

講談社 [文庫]
(2004-11)
EAN:9784061983878
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けはい堂[kehaido]
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みつばち5
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コメント: 第1刷

「骨の火 (講談社文芸文庫)」のカスタマーレビュー

単なる姦通小説
森内俊雄は悪の問題から神を追求する。
しかし、悲しむべきかな彼の創造する悪は、
道徳的な意味での罪を超えるものではない。
生々しく執拗に描かれる姦通場面の描写は、
作家が極めて常識的な人間であることを裏切り示している。
だからこそ、この程度のものを悪だと錯覚するのである。
この点、同じくこの作家の手になる『谷川の水を求めて』も
同じ謗りを免れない。

悪を描いた作品を期待する方には、
むしろ高橋たか子の作品をこそお勧めする。
重々しいです
2人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
主人公の漆山の神の愛に対する忘恩・傲慢さを嫌というほどに感じた。怪我をさせた友人の中指の血や教え子の麻利の流した処女の血は、神の愛であるキリストの受難のときに流された血に喩えられるだろうし、傷つけられていてもそれでも漆山を許し愛する友人や麻利の存在を通してイエスはご自身の愛をお示しになっているのに、その愛を貪り踏みにじり自我を貫き神に挑戦しているかのような彼の心のあり方に憤りを覚えました。
それから、麻利に関しては、中学生で処女喪失なんて個人的には良くないと思いますし、麻利の行いも彼女の漆山に対する恋心が健気であってもカトリック的愛と言い切れないところもあると思います。なぜなら、それが愛というよりも、母親と張り合う女としての情念を感じられたから。

神が選んだら、そのしるしは決して消えることはない。
そのことを熟知しているのであれば、逃げようとしても神の手からは死んでも逃れられないのだから、謙遜に神に祈り自分をおゆだねすることをなぜしないのだろうと、なぜ回心しないのだろう、なぜ、死さえも自分で計画的にしかも苦しむことの無い方法で選び地獄の道を歩んでいったのだろうと疑問に思った。

ところどころに、キリスト教的に興味深いことも書いてあって楽しめるところもありました。
選ばれた人間の骨の中には、神の愛の炎が燃え盛っていて、神の存在から逃げられないし受け入れていくしかないのだということを私はあらためて痛感した。

知られざる佳作
不勉強な自分は、この著者のことを全く知らずにいた。たまたま、書店で手にとって購入したのだが、これだけのレベルの高い小説家がいたのか、と唸ってしまった。主人公の漆原は、過ちを犯し、自らの信仰を裏切り、背徳的な行為を繰り返しつつ墜ちていく。彼が奈落への道を歩んだのは、果たして信仰を裏切ったからか、それとも、彼が信じた大いなる神の手の作為によるのものなのか・・・・。信仰とは何かを考えさせてくれるこの作品は、暗いトーンで終始しており、読後感も爽やかとは決して言えぬが、心に届くものがある。

解説に、主人公を巡る父の影がいくつかあると出ている。カソリックに入信することを止めた実父、そして家庭教師先の雇い主であり、終生、彼につきまということになる代父・藤沼。が、この小説中、父として主人公にまつろう一番大きな影は、聖なる父、キリストそのものではなかろうか?

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