伊坂氏の「呼吸」が読みたくてこの雑誌を購入し、実際に「呼吸」しか読んでいないので、そのレビューを書かせて頂く。
この作品は、エソラ1に掲載された「魔王」の5年後の世界を描いたものである。
魔王(エソラ1)のレビューには「政治的なメッセージ性が強すぎて、違和感を覚えずにはいられなかった。」と書いたが、実際、「魔王」という単行本が出版されるにあたり、政治家・犬飼(呼吸の中では首相)の政治的なメッセージが強い箇所がカットされて出版されていた。やはり、編集者も、ここに違和感を覚えたのだろう。本作は魔王と比べかなり政治色が弱くなっているが、それでもやはり「自衛隊」「憲法改正」の問題など、作者の政治的な強いメッセージが込められている(前作ほど押しつけがましくなく、登場人物同士で賛否を議論させてはいるが)。
率直に言って、私は伊坂氏にこのような作品を期待していない。政治や憲法に関する主義主張を書いた本、あるいはHPは巷にあふれかえっており、情報を得ようと考えれば、どこからでも(それが正しいかどうかは別にして)得ることができるし、本書の中での作者の主張は、決して斬新なものではない。この作品終わり方は、続編を予感させるものであるが、伊坂氏が違う方向を向いて進んでしまっているような気がしてならない。伊坂氏にしか書けない小説を読みたい。

「呼吸」のレビュー
新鮮です。お奨めです。
不思議なおもしろさ