一禅者の思索 (講談社学術文庫)

講談社 [文庫]
(1987-06)
EAN:9784061587922
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コメント: 2002年第23刷。帯なし。小口に若干ヨゴレありますが、中はとてもきれいです。ただちに発送させて頂きます。

「一禅者の思索 (講談社学術文庫)」のカスタマーレビュー

時代に偏しない超越した眼差しに感銘
 イギリスでの講演を含めた演説、新聞の寄稿、書籍の序文などからなるアンソロジーである。1943年刊行、対戦突入前夜の日々キナ臭くなっていく時代の、一禅者(大拙氏)の思索である。氏、当時72歳、95歳が永眠だからまだまだ若い(笑)。
「われわれが今日自己の周囲のあらゆる面で目撃している、このほとんど絶望ともいうべき事態から、いかにしたら立ち上がることができるのか。最も簡単な方法は、われわれが自己の無明に気が付くと共に、それによって業の足枷を打ち破ることである。」(「無明と世界友好」)
 本書に収められたいずれにも、このテーマが通低している。テーマの背後には大いなる肯定がある。仏教の信仰に裏打ちされた肯定である。世界や人間や社会には否定面が必ずある、しかし肯定面もみないといけない。何も戦争が間近に迫っているからというのではなく、氏の悟達の眼差しはもっと透徹していて、また透徹しているからこそ、時代を越えて現代にも通じる思索が可能だったのだ。氏は科学を否定しない。科学と宗教は相携わって進むべきだとは言うもののテクノロジーへの批判はある。大地とは身体そのものだという(「大地と宗教」)。機械文明によって破壊された大地をアスファルトとビル群が覆うとき、宗教は衰微の一途を辿るほかない。一方で科学は、ミクロ・マクロサイズで身体意識を変容させた結果身体は宇宙そのものとなる(「人間性の半面」)。なるほど、現今のITやネットはさらに身体を大地から引き離すであろうし、その行き着く果てにはバーチャル化された大地と大地を失った、空疎で不安に晒された身体はいったいいかなる宗教を見出していくのだろうか?
 「科学は客観的宗教であり、宗教は主観的科学である」(「禅堂の思い出」の中の日露戦争で捕虜となって処刑された友人からの最後の手紙の一文)という言葉も含蓄深いものがある。そのほか枚挙に暇がないくらい示唆的な言葉が溢れている。6、70年前の本だけれど、今も心に響くものがある。

禅好きならどうぞ
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 鈴木大拙の講演を集めて一冊にしたもの。三部構成でその一が講演・その2が「禅堂の思いで」という回想録・その3がエッセイ風のもの(仏教色はもちろん濃い)。

 講演会を聴きに来る人々に応じて、その内容が簡単になったり難しくなったりする。言葉遣いも変わる。特に印象に残ったのは巻頭の「無明と世界友好」大拙は、ここで仏教の教えの彼なりの解釈を述べている。我々の住んでいるところは無明の所産。あらゆる二元論は今や人の心を捕らえている二元論に於いては一面が光を浴びると他の一面は陰になる。そのために人間の心の自由は失われている。本来は、人間の意識には分別以前の無分別がある。それを自覚し本来の自己・自らの主人公になるものは稀である。

 仏教は修行によってそれを可能にする。仏教は生のあるがままを受け入れる。二元性も悪も苦難も全てを受け入れる。なぜなら、そこから逃れるすべはないからである。二元性の底にあるものを直感せよということだ。これを空と呼ぶ。
 といった内容です。

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