殺人犯の娘と間違われ、養母に冷たく遇され、自殺にまで
追い込まれた陽子ですが、彼女は他の登場人物たちと比べると
それほど不幸ではないと思います。彼女の場合は生まれが
特別だったわけで、そのために苦痛を味わっても、それは
彼女自身のせいではなかったからです。生まれ持っての罪と
いうものにこの続編で彼女は苦しんでいますが、それは人間なら
誰しもが持っているものです。人に好かれる容姿や真っ直ぐな
心を持って生まれたことを、彼女は感謝すべきなのでは、と逆に
思ってしまうほどなのですが。それに若い頃の苦労は彼女の
その後の人生の糧にもなったのではないでしょうか。
啓造や夏枝、恵子などのほうに私はより深い同情を感じてしまいます。
それはおそらく、私自身も彼らのように過ちを犯したり、その
罪の深さに苦しんできたりしたからでしょう。真の「愛」を
持った人間になるために、つまづき、苦しみ、模索しながら
歩む道、そのものが人生なのだと思います。

真実の愛
許すということ