既に後期作品に見られる陰鬱な作風やペシミズムは作品の根底に見られるが、この時期の作品はそれでも楽しんで読める乾いた独特の雰囲気と稚気にあふれたユーモアがある。
ゆえに芥川文学初心者にはとっつきやすい好書になっているだろう。
「羅生門」「鼻」「芋粥」といった、芥川得意の古典を下敷きにして創作する手法の表題作のほかにも、星新一のショートショートを思わせる「煙草と悪魔」など脇を固める作品もじゅうじつ。
特に「MENSURA ZOILI」は大正時代に書かれたとは思えないほど現代的でスタイリッシュな出来栄え。SFじみた不思議な味の好篇だ。


偉大なる初歩