美味なものについてだけでなく、それについての科学的な洞察、それにまつわる
人間模様も含めて書かれた非常に巧みなエッセイです。200年以上も前にこんな
著者を輩出するとは、さすがフランスと言わざるを得ません。フランス料理が世界に
冠たる程に発展してきたのも大いにうなずけます。
全編どこを読んでも、興味深いエピソードや著者のユニークな分析・見解が満載で
飽きさせません。また料理の描写も巧みで、個人的には鮪入りオムレツから汁が流れ
出るくだりは垂涎ものです。今作って食べてもおいしそうなものも多いと思います。
訳も非常にわかりやすく、読みやすいものです。ただ、出版からだいぶ経っており
表現が少々時代がかって感じるのと、鶉でも牛でもすべて「焼肉」と表現されるのは
ちょっと気になります。焼肉といったら、やはりあちらの「焼肉」を連想してしまう
かと思いますが・・・。
ともあれ素晴らしい作品で、かつ気楽に楽しく読めると思います。一気に通読するもよし、
寝る前にちょっとずつ読むもよし。何度でも楽しめるでしょう。

食に関するエッセイの金字塔
死を目の前にしてもあなたをおもう