「リア王 (岩波文庫)」のカスタマーレビュー
残酷な物語で、最後の救いも間に合わない
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精神的にも肉体的にも残酷な物語である。
王と娘たちの物語と平行して、臣下の伯爵と息子の物語が絡んで来て深みを感じる構成だ。さらに日本だと相当するものがない道化の存在が面白い。王の発言を混ぜっ返したり、揚げ足を取ったりと善意と悪意をくるくる入れ替えるような自由な存在である。
姉二人の豹変ぶりと言えばあまりにもひどく、ほとんどマクベス夫人である。末娘の気持ちも結局は活かされない形で終わる救いようの無い物語で、心ある臣下達に再度王に擁立されることを示唆して終わる最後のシーンもまったく救いにはならない。
物語を語る単調なドラマではなく、いわゆる「ボケ」「突っ込み」などが溢れる喜劇的なやりとりの中に、真情を吐露する独白が混じったり、セリフに文化的な教養や時事性、痛烈な皮肉があるのには驚いた。さらにセリフに溢れる罵詈雑言、猥雑さに驚き、「ライブ総合芸能」としての演劇のエネルギーというかエンターテイメント性に感心した。実際には衣装、舞台装置や照明、そして客の反応を見るような間が演出されたりするのだろうが、あまり馴染みがなかった「演劇」にがぜん興味が湧いてくる。
"Nothing"
ここ最近、シェイクスピアを新たに訳しなおした本が色々出ていて、岩波文庫もこのリア王とハムレットを野島
氏訳で訳しなおして出版している。で、読んだ感想としては改訳して正解だと思う。訳者である野島氏のう
んちく度合いは、ハムレットよりはおとなしめではあるけどここでも健在。訳者のカラーがかなりはっきり出ている
ので好き嫌いが分かれるような気がするが、自分にとっては一番面白く読めたのがこれ。万人向けではないの
だろうけど、一度読んでみて欲しい。
狂気の中の理性
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シェイクスピア四大悲劇の内の一つである『リア王』。
壮大なスケールの下、ゴネリルとリーガンという二人の娘に裏切られたリア王の、狂気の中に理性を含んだ叫びが表現される。基本的にキリスト教的な要素が希薄であり、その為、人間という一個の「動物」に過ぎない醜い生き物の本性というのが暴かれていく様子が衝撃的で、読んでいて胸に突き刺さってくるような悲痛さを感じる。
「生れ落ちると、われわれは泣き叫ぶ、阿呆どもばかりのこの大舞台に引き出されたのが悲しくて。」
という名台詞を初めとし、狂人と化したリア王の放つ言葉には、人間存在の真理が込められており、その他にも自分の心に何時までも強く残るであろう名台詞が、所々に散らばっている。
老年期に読むと、さらに味わいも変わりそうな一冊である。
四大悲劇のひとつリア王を手軽に文庫で。
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3人の娘を持ったリア王、それぞれが自分をどれだけ愛しているかによって領土を分け与えることにしました。しかし、口下手の三女は姉君たちのようにうまい言葉で父王の恩寵に預かることができないばかりか、絶縁されてしまいます。彼女のいなくなったあとのリア王は上の二人の娘に情けもないあしらわれ方をした上自分の誤りを深く悟りますが、時すでに遅し。二人の娘に憤慨し、嵐の荒野を忠実な僕とともに行く彼の心は蝕まれてしまいます。それを助けに三女は嫁ぎ先のフランスから挙兵してやってきますが、父王とともに囚われの身となり、悲惨な死を迎えます。そのむくろを抱いて絶望の果てでリアもまた息を引き取ります。本筋とともに平行して中心たちのけなげな姿もまた胸を打ちます。